残食を給食改善のデータに変える
保育園で残食が増えると、「献立が子どもに合っていないのでは」「食育が足りないのでは」と考えがちです。しかし、残る理由は味や好き嫌いだけではありません。盛り付け量、食材の大きさや硬さ、食べる時間、当日の活動量、欠席人数などが重なっていることもあります。
この記事で確認すること
最初の判断
残食は、子どもが食べなかった量を示すだけの数字ではありません。予定より多く調理した、欠席が増えた、一人分の盛り付けが多かった、特定の料理だけ進まなかった。どこで残ったかによって、見直すべき仕事が変わります。
ここを分けずに残食の総重量だけを見ても、「もっと食べてもらおう」という結論に寄りやすくなります。けれども、配膳前の鍋に多く残っているなら、必要なのは発注数や調理量の調整かもしれません。皿に盛った後で特定の副菜だけ残るなら、量、食感、味付け、組み合わせを確かめる必要があります。
こども家庭庁のガイドは、食事提供を計画、実施・モニタリング、評価、改善の循環として示しています。子どもの様子を継続して確認し、計画どおりに進まないときは要因を分析し、多職種で改善する考え方です。残食も、誰かを責める材料ではなく、この循環に使う情報として扱うと意味が変わります。
数字の読み方
「残食率が何%なら多いのか」を知りたくなりますが、全国の保育園に共通する平均値や合格ラインとして使える公的データは、今回確認した一次資料では見当たりませんでした。年齢、献立、測定方法、季節によって条件が変わるため、公開事例の数字をそのまま自園の基準にはできません。
公開されている数値は、残り方の違いを読み解く参考にはなります。
苫小牧市が公立保育園4園の3歳以上児を対象に5日間行った調査では、グレープフルーツの残食率が16.9%の日と15.9%の日があり、それ以外は10%以下でした。市は酸味や家庭での食べ慣れ、一品料理の味付けなどとの関係を考察しています。ただし、これは2020年の4園・5日間、主食以外という限定された結果です。
はあと保育園成城が3~5歳児42名を3か月調べた実践報告では、3歳児の主菜の廃棄率が9月の27%から11月の14%へ、副菜は39%から30%へ変化しました。4・5歳児も、主菜は18%から10%、副菜は23%から14%へ変化しています。
同じ報告では、ごますりの食育を行った料理で、3歳児の残食量が257gから148gへ変化しました。数字は興味深いものの、比較対象を置いた研究ではありません。食育後に残食が減った実践例とは言えても、食育だけが原因だったとまでは言えない点に注意が必要です。
大切なのは、他園より高いか低いかではありません。同じ測り方を続け、どの年齢で、どの料理が、どんな日に残りやすいかを見ることです。
測定の基本
鍋に残った料理と、子どもの皿から戻った料理では、改善策が異なります。園内の管理指標として、次のように分けると原因を追いやすくなります。
この二つを混ぜると、子どもが食べなかったのか、そもそも配膳されなかったのかが分かりません。主食、主菜、副菜、汁物、果物も可能な範囲で分けます。欠席数、年齢、献立、当日の活動や体調に関する短いメモも添えると、数値だけでは見えない事情を残せます。
こども家庭庁のガイドにも、残菜専用のボールで量を測って日誌に記録し、保育士が個別の残菜やおかわりを確認する保育所の事例があります。総量の計測と、子どもの食べ方の観察はセットです。
最小限の記録項目
毎日すべてを細かく測ると続きません。まずは残食が目立つクラスや料理に絞り、2週間から4週間、同じルールで記録してみてください。
原因の切り分け
残食の理由を「好き嫌い」でまとめると、打ち手が声かけに偏ります。次のように残り方と照らし合わせると、先に確認する項目が見えてきます。
こども家庭庁のガイドでも、盛り付け量の個人差、食べ残しの多い料理や食品を確認し、食事量、味付け、切り方、柔らかさ、食品構成、献立を見直す流れが示されています。原因を決めつけるのではなく、観察した事実から仮説を立てることが大切です。
改善の優先順位
全員に同じ量を盛ると、食べられる量が少ない子どもの皿には残りやすくなります。最初の量を調整し、おかわりできるようにして、食べた量を確認しながらその子の適量を探ります。
ただし、量を減らすだけで終わらせません。おかわりの回数、体重や身長の経過、午後の様子なども見ながら、提供量が適切かを栄養士・保育士で確認します。
同じ食材でも、厚さ、繊維の残り方、口の中でまとまりやすいかによって食べやすさは変わります。「野菜が嫌い」と判断する前に、どの食材のどの状態で止まったかを見ます。
献立を変えるときは、一度に多くの条件を動かさないことも大切です。切り方だけ、硬さだけ、味付けだけと一つずつ試すと、何が食べやすさに影響したかを振り返れます。
食事時間が短かった日に特定の料理が多く残るなら、時間との関係も確かめます。食べ始めが遅れたのか、片付けの声かけが早かったのか、席が落ち着かなかったのかを記録と照らし合わせます。
食事だけを切り取らず、登園時刻、朝食、午前中の活動、眠気や体調とのつながりを見ると、献立を変えなくても改善できる点が見つかることがあります。
食育は、給食とは別に行うイベントではありません。その日に出る食材に触れる、匂いをかぐ、皮をむく、混ぜる、育てる。活動と給食がつながると、皿の上の食材が「知らないもの」ではなくなります。
実践報告では、ごますりや栗のくり抜きを行った後、対象料理の残食量が減った例が示されています。すべての園で同じ結果になるとは限りませんが、食育の評価を参加人数だけで終わらせず、その日の食べ方や残食まで確認する視点は取り入れられます。
「今日も野菜が不人気でした」だけでは、調理側は改善しにくいものです。「3歳児クラスでは、にんじんより鶏肉の皮が残った」「食べ始めが15分遅れた」「小さくした分は食べた」のように、観察した事実を短く共有します。
共有項目は多くなくて構いません。残食が目立った料理、子どもの反応、次回試す変更の三つがあれば、日々の給食を次の献立へ戻せます。
守るべき線引き
残食を減らす取り組みは必要です。ただし、数字を下げることが最優先になると、食べられない子どもへの声かけが強くなったり、最初から量を減らし過ぎたりするおそれがあります。
こども家庭庁のガイドは、全員に同じ量を盛り付けたり、無理に食べさせたりせず、子どもの希望を確認して量を調整する考え方を示しています。目指すのは、標準量を一律に食べ切らせることではありません。その子に合う量を見つけ、安心して食べられる範囲を少しずつ広げることです。
園全体の評価も、残食率だけにしない方が安全です。残食率に加えて、食べられる量を自分で伝えられたか、苦手な食材に触れられたか、食事を嫌がる様子が増えていないか、発育状況に気になる変化がないかを見ます。
小さく試す
次の流れは、国が定めた必須期間ではありません。記録が負担になり過ぎず、同じ献立の次回改善にもつなげやすい、園内で始めるための一例です。
こども家庭庁のガイドに掲載された保育所事例でも、残菜を計量・記録し、個別の食べ方を観察した上で、園長、主任、担任、栄養士らが月1回話し合い、改善しています。会議の回数を増やすより、判断に使える記録を揃えることが先です。
体制の見直し
測定方法や改善案が分かっても、実行する人と時間がなければ続きません。調理、発注、衛生管理、欠員対応に追われ、子どもの食べ方を見る時間や、保育士と給食担当者が話す時間が取れない。この状態が続くなら、個人の努力ではなく運営体制の課題です。
給食委託は、残食を自動的に減らすサービスではありません。調理や人員配置を外部に任せながら、園が子どもの様子と食育方針を持ち続け、改善を共同で回すための選択肢です。
こども家庭庁のガイドでは、外部委託でも安全・衛生・栄養・食育の観点から保育の質を確保し、園と受託者の業務分担を契約で明確にすることが必要とされています。契約には、保育室で食べる様子を観察し、量・硬さ・大きさが適切だったかを確認することや、保育士と連携した食育を盛り込むことも考えられます。
価格だけで選ばず、導入後に残食と喫食状況をどう確認するかまで比較することが重要です。
委託会社との打ち合わせで確認したい項目
この項目を契約前に確認しておけば、「調理は安定したが、食育や改善の連携が弱くなった」というずれを防ぎやすくなります。
よくある疑問
全国の保育園に共通する公的な平均値や合格ラインは、今回確認した一次資料では見当たりませんでした。公開事例は対象年齢、献立、期間、測定方法が異なるため、その数値との比較だけで判断するのは避けた方がよいでしょう。
まずは自園で測定条件を揃え、同じ料理、同じ年齢、同じ季節の変化を見ます。残食率が低くても、無理な完食指導が増えていないか、提供量を減らし過ぎていないかを併せて確認してください。
配膳前に残った料理と、子どもの皿から戻った料理を分けます。前者は発注・調理・配分、後者は盛り付け量・調理形態・食事環境の影響を受けやすく、改善する担当や方法が異なるためです。
子どもの反応を見ずに一律で促す運用は避けます。まず量を調整し、見る、触る、匂いをかぐなど、食べる前の関わりも経験として捉えます。強い拒否がある場合は無理に食べさせず、食感、味、過去の経験、体調などを個別に確認してください。
必ず減るとは言えません。食育後に対象料理の残食が減った保育園の実践例はありますが、食育だけの効果を検証した研究ではありません。食育を行った日は、残食量に加えて、食材への関心、触れ方、言葉、食べ方の変化も記録し、自園で効果を確かめましょう。
対応範囲は委託会社と契約内容によって変わります。残食計量、料理別の報告、喫食観察、献立改善、食育連携を、誰がどの頻度で行うかまで確認してください。園側にも、子どもの様子を共有し、保育方針と食育の目的を示す役割が残ります。
最後に確認すること
保育園の残食が多いとき、完食の声かけから始めても、原因が違えば改善しません。配膳前の残りと食べ残しを分け、料理別・年齢別の数字と、食べる時間や子どもの反応を一緒に記録することが出発点です。
数字が見えたら、量、切り方、硬さ、献立、食事環境、食育のうち一つを変えます。残食率だけでなく、食べる楽しさ、挑戦する様子、発育状況、職員の負担まで見て、続けるかどうかを判断します。
測定、観察、共有、改善までを園内だけで回すのが難しい場合は、給食委託も選択肢です。ただし、調理だけを任せて終わりではありません。残食データを献立に戻し、保育士と連携して食育まで進められる会社かを比較してください。
| ミールケア | LEOC | |
|---|---|---|
| 食の 安全性 |
品質管理 (ISO9001) 衛生管理(HACCP) |
衛生管理(HACCP) |
| 給食業務改善と 負担軽減 |
・和食中心の献立立案とアレルギー対策 ・管理栄養士による「給食だより」 アプリ配信 |
・園と保育活動に 連動した献立立案 ・現在の厨房職員の継続雇用面接可 |
| 拠点 | 東京、大阪、長野 | 札幌、旭川、函館、帯広、宮城、東京、神奈川、千葉、新潟、愛知、福岡、熊本 |
※2024年3月15日調査時点
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