給食体制を見直す園へ
保育園の給食は、毎日決まった時間に出さなければなりません。しかも、ただ食事を作ればよいわけではなく、離乳食、アレルギー対応、発達に合わせた食形態、食べる量の確認、保護者への共有まで関わります。
この記事で確認すること
まず見たいこと
保育園給食は、調理だけで完結しません。
献立を考え、食材を発注し、調理し、配膳し、子どもがどのくらい食べたかを見る。必要があれば、食形態や量を見直し、保育士・栄養士・調理員で共有する。こうした流れがあって、子どもに合った食事提供になります。
こども家庭庁の「児童福祉施設等における食事の提供ガイド」でも、食事提供は献立作成、調理、盛り付け・配膳、食事時の支援など、関係する職員が多岐にわたる業務とされています。施設長、管理栄養士・栄養士、保育士、調理員、看護師など、さまざまな職種の連携が必要です。
人手不足で本当に怖いのは、「給食を作る人が足りない」ことだけではありません。食事の様子を見て、気づきを共有し、次の献立や食育に反映する流れが弱くなることです。
数字の読み方
保育現場全体では、人材確保が難しい状況が続いています。
令和8年4月の保育士の有効求人倍率は2.54倍で、全職種平均の1.12倍より高い水準です。
ただし、この数字は保育士のデータです。「保育園の調理師求人倍率が高い」と説明する根拠にはなりません。
一方で、保育園給食が大きな規模で毎日動いていることは、公的データから確認できます。令和7年4月1日時点で、保育所等を利用する児童は2,678,417人です。
この規模の食事提供を、各園が日々止めずに回しています。少人数の給食現場で欠員が出れば、献立、調理、配膳、個別対応、保育士の負担に影響が出やすくなります。
見落とせないリスク
特に負荷が大きいのが、離乳食とアレルギー対応です。
離乳食は、月齢だけで判断できません。食欲、発育、咀嚼の状態、食べられる食材、家庭での進み具合などを見ながら調整します。こども家庭庁のガイドでも、離乳食の計画は子どもの日々の状況を把握し、担当保育士、管理栄養士・栄養士、調理員、看護師等が確認し合いながら進め、必要に応じて修正することが重要だとされています。
アレルギー対応も同じです。人手が足りない日は、確認作業がなくなるわけではありません。限られた人数で、いつも通り安全確認をしなければなりません。
ここで無理が続くと、食育どころではなくなります。本来なら「今日はよく噛めていた」「苦手な野菜を少し食べた」と共有できる場面でも、片付けや次の準備に追われて終わってしまいます。
食育の範囲
食育というと、野菜の収穫体験やクッキング保育、行事食のようなイベントを思い浮かべやすいかもしれません。
もちろん、それも大切です。でも、保育園の食育は毎日の給食の中にもあります。
調理室から漂うにおい、調理員の顔が見えること、食材の話をすること、食べる前後の声かけ、残食の様子を次の献立に生かすこと。こども家庭庁のガイドでも、自園調理には個別対応、食育の推進、職員間の連携を図れる長所があるとされ、調理室と保育室が連携することで、子どもや保護者に食の大切さを理解してもらいやすくなると示されています。
人手不足になると、この「日常の食育」が細ります。イベントが減るだけではありません。日々の観察や会話、振り返りが減っていく。それが、園にとって見えにくい損失です。
採用だけでは足りない理由
調理員や給食スタッフを採用できれば、大きな助けになります。ただ、求人を出してすぐに経験者が来るとは限りません。採用できても、保育園給食に必要な衛生管理、離乳食、アレルギー対応、園内連携を覚えるまでには時間がかかります。
その間も、給食は毎日続きます。欠員、急な休み、退職、産休が重なると、残った職員に負担が寄ります。園長や主任が、本来の保育運営に加えて給食現場の調整まで抱えるケースもあります。
ここで考えたいのが、給食運営の切り分けです。園内で担うべきことと、外部の力を借りた方が安定することを分けて見直します。
役割の切り分け
給食委託は、給食を丸投げするためのものではありません。安定して任せる部分と、園が持ち続ける部分を分けるための選択肢です。
ただし、実際にどこまで任せられるかは委託会社や契約内容によって変わります。料金だけでなく、業務範囲と連携体制を確認することが欠かせません。
この部分まで手放してしまうと、食育が園の保育から切り離されてしまいます。
こども家庭庁のガイドでは、調理員は「調理業務の全部を委託する施設を除き、必ず置かなければならない職種」とされています。また、調理員は衛生面・安全面に配慮した調理を担うだけでなく、提供した食事がどのように食べられているかを観察できる機会を設けることも必要だとされています。
外部委託の場合も、食事の提供は調理室の中だけで完結するものではありません。保育所等と委託業者が食事提供の目的や目標を共有し、連携体制をつくることが必要です。
比較時のチェック
人手不足をきっかけに給食委託を検討するなら、料金や献立数だけで決めない方がよいです。
選定前に確認したい項目
特に大切なのは、「食育に強い」と言える中身です。イベントを提案してくれるだけでなく、子どもの食べ方、残食、苦手食材、保育士からの気づきを給食運営に戻せるか。ここまで見ておくと、委託後のズレを減らせます。
こども家庭庁のガイドでも、外部委託に当たっては、安全面・衛生面・栄養面・食育の観点から保育の質の確保が前提とされ、施設管理者と受託者の業務分担を明確にした契約や、契約内容を確認できる体制整備が必要だとされています。
よくある疑問
給食委託を検討し始めると、「食育まで任せてよいのか」「保護者にどう説明するか」「園の責任はどこまで残るのか」といった不安が出てきます。
ここを曖昧にしたまま委託会社を選ぶと、導入後に園の方針と給食運営がずれやすくなります。よくある疑問を、事前に整理しておきましょう。
続けられます。ただし、委託会社にすべて任せきりにするのではなく、園の食育方針を共有することが前提です。
食育は、行事食やクッキング保育だけではありません。子どもの食べ方を見たり、苦手な食材への反応を共有したり、残食の様子を次の献立に生かしたりすることも、日々の食育に含まれます。
こども家庭庁のガイドでも、外部委託の場合は、献立通りに調理した食事を出すだけでなく、保育室で子どもたちの食べている様子を観察し、食事量や食材の固さ・大きさが適切だったかを確認することなどを契約内容に盛り込むことが考えられるとされています。
給食委託会社を選ぶときは、献立や調理だけでなく、保育士・栄養士・調理員が情報共有しやすい体制があるかを確認しましょう。
最初に見るべきなのは、誰か一人にしか分からない作業がないかです。
発注、検品、下処理、アレルギー確認、配膳チェック、記録、保護者への共有などが属人化していると、欠勤や退職があったときに一気に現場が止まりやすくなります。
まずは、毎日の作業を「必ず園内で行うこと」「簡略化できること」「外部に相談できること」に分けます。採用だけで埋めようとする前に、業務の流れを見える化する方が早く効く場合があります。
説明の仕方によって変わります。
「人手が足りないから外部に任せます」とだけ伝えると、不安に受け取られやすくなります。伝えるべきなのは、給食の質と安全性を守るために、調理・衛生管理・人員体制を安定させるという目的です。
あわせて、アレルギー対応、離乳食対応、食育活動、園との情報共有の方法を説明できると、保護者も判断しやすくなります。
委託は、食育をやめるためのものではありません。園が大切にしている食育を続けるために、給食運営を安定させる選択肢として説明すると伝わりやすくなります。
残ります。
委託会社が調理や衛生管理を担う場合でも、園として子どもの健康状態、アレルギー情報、食べ方、保護者とのやり取りを把握する必要があります。
外部委託の場合も、保育所等と委託業者が食事提供の目的や目標を共有し、連携体制をつくることが必要です。食事提供に関して悩みや分からないことがある場合は、行政の管理栄養士・栄養士に相談するなど、円滑に実施できる関係づくりも求められています。
委託は責任を手放すものではなく、安全に給食を続けるための役割分担です。
一律にどちらがよいとは言えません。
自園調理は、子どもの様子を調理に反映しやすく、園の食育方針ともつなげやすい方法です。こども家庭庁のガイドでも、自園調理には個別対応、食育の推進、職員間の連携が図れるなどの長所があるとされています。
一方で、少人数体制の園では、欠員や退職が起きたときに現場の負担が一気に増えることがあります。
給食委託は、調理体制や衛生管理、人員補充を安定させやすい選択肢です。ただし、園の食育方針や子どもの情報が共有されないと、給食が保育から切り離されてしまいます。
判断の基準は、「どちらが楽か」ではありません。子どもの食事を安全に続けながら、食育まで回せる体制を作れるかで考えましょう。
保育園給食の記事では、「調理師」と「調理員」を分けて考える必要があります。
調理師は国家資格の名称です。一方、公的資料では、保育所に置く職種として主に「調理員」という表現が使われます。こども家庭庁のガイドでも、調理員は調理業務の全部を委託する施設を除き、必ず置かなければならない職種とされています。
そのため、人手不足について説明するときは、「調理師不足」とだけ書くより、「調理師・調理員など給食スタッフの不足」「給食現場の人手不足」と表現する方が誤解を避けやすくなります。
また、保育士の有効求人倍率のデータを、調理師不足の直接的な根拠として使うのは避けましょう。保育士のデータは、保育現場全体の人材確保の難しさを示す背景として使うのが適切です。
最後に確認すること
保育園給食の人手不足は、厨房だけの問題ではありません。人が足りない状態が続くと、調理、配膳、喫食確認、アレルギー対応、保護者への共有、食育の振り返りまで少しずつ圧迫されます。
採用を進めることは大切です。ただ、それだけに頼ると、現場が苦しい期間が長引くこともあります。
まずは、園内で続ける業務と、外部に任せた方が安定する業務を分けて考えましょう。給食委託会社を選ぶときは、調理を任せられるかだけでなく、園の食育方針を理解し、子どもの情報を共有しながら運営できるかを見ることが大切です。
人手不足でも、食育はあきらめなくてよいものです。
食育に強い給食委託会社を比較し、自園に合う給食運営の形を検討してみてください。
| ミールケア | LEOC | |
|---|---|---|
| 食の 安全性 |
品質管理 (ISO9001) 衛生管理(HACCP) |
衛生管理(HACCP) |
| 給食業務改善と 負担軽減 |
・和食中心の献立立案とアレルギー対策 ・管理栄養士による「給食だより」 アプリ配信 |
・園と保育活動に 連動した献立立案 ・現在の厨房職員の継続雇用面接可 |
| 拠点 | 東京、大阪、長野 | 札幌、旭川、函館、帯広、宮城、東京、神奈川、千葉、新潟、愛知、福岡、熊本 |
※2024年3月15日調査時点
給食で差をつける保育園
食育に強い給食委託会社2選
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直営給食に比べて、委託給食の質や食育はレベルが低いというのは一昔前の話。
委託給食の中でも有資格者である「考食師」「食育インストラクター」が食育に関わると公式サイト上に掲載されている2社は、とくに食育プログラムにこだわっています。
ここではそのサービス内容をご紹介します。